FC2ブログ

記事一覧

なんで子供がお酒を飲んだらいけないの? 前編 ~僕の幼少期から青年時代

先月、当時まだ小学校6年生の長男が、学校から、「お酒はどうしていけないの?」という冊子をもらってきた。


IMG_0856.jpg


このくらいの年になると、親や親せきの人に勧められて、つい飲んでしまうことがあるのだという。
この冊子によると飲んではいけない理由は、

1. 身体の成長を妨げる
2. 急性アルコール中毒の危険性
3. 抑制が効かなくなり、事故や事件につながることがある
4. 将来、アルコール依存性になる危険度が高い
5. 法律違反だ

というもの。
2.3.5.は常識だが、1.と4.に関しては、大人でも意外と知らない人がいるので、このような冊子が配布されることは、保護者の教育にもいいように思える。
フランス人にはアルコール依存症が多いが、それは子供の頃から、ワインを薄めて飲ませる習慣によるところが大きいとされ、近年は見直されてきていると聞いてある。

話は半世紀近く前にさかのぼり、少年時代の僕がどうだったかというと・・・

初めて飲んだのは、小学校に入りたての頃だったと思う。
父がビールをうまそうに飲むので、僕も飲みたいと言うと、一口飲ませてくれた。
苦さに顔をしかめると、大人たちは愉快そうに笑った。

次の記憶は、小学校4~5年生。
このときは、おや、うまいじゃないか、と思った。
それ以降、父が飲むときには、たまに飲ませてもらうようになった。
ジュースよりもよほどうまい、とまで思うようになった。

毎晩飲むようになったのは、中学2年か3年からだと思う。
父は晩酌をせず、寝酒を飲むタイプだったので、僕が勉強を終えて自室から居間に行くと、大抵飲んでいた。
ビールをコップで1~2杯飲ませてもらうのが習慣になった。
高校受験を控えて忙しくなると、僕が居間に行くころには、父はもう床についていることが多くなる。
そういうときは、小瓶1本くらいならばれないだろう、と勝手に持ち出して飲んでいた。
今思えば、親は気づいていたのだと思うが、飲酒を咎められることはなかった。
受験勉強が大変そうだから、そのくらいの息抜きはあっていいのでは? という親心もあったのかもしれない。
それに父は、「男は中学生くらいになったら、酒くらいは飲むものだ」と本気で考えていた節がある。

昭和10年生まれの父は、9歳のときに終戦をむかえた。
日本が貧しかった時代に、千葉県の田舎(九十九里浜の南端)で育った。
中学生にもなれば、みな立派な働き手で、農繁期には学校に来ない児童も多かったそうだ。
高校に進学できる子など一握りで、親友に、「そうか、内山は高校に行けるのか・・・」としみじみと言われた時のせつなさを、父は晩年になっても時おり口にした。
というわけで、中学生を出る頃になれば、皆いっぱしの働き手であり、すなわち、大人だった。
ビールなんて洒落たものはなかっただろうが、コップ酒くらいは飲ましてもらえたし、当時はそれが当然だった、と父は言っていた。

父が子供の飲酒を是としたのは、自身の経験だけでなく、それなりの根拠もあった。
作家、山口瞳のエッセイだ。
僕には父が本を読んでいた記憶がほとんどないので、なぜその一文が父の目に止まったのかわからない。
母は大変な読書家だから、母がおもしろがって読ませたのかもしれない。
それは酒についてで、山口瞳が小学生のころ、常習的に台所にある日本酒の樽から、盗み酒をしていた思い出が記されていた。
「小学生の頃から毎日飲んで、あんな立派な作家になった。子供に酒が悪いわけがない」
と、父は自信満々だった。

中学時代。
僕の影響で、友人たちは皆飲むようになった。
今思えば、悪いことをした。
毎週のように、親の目が行き届かない友人の家に集まり、麻雀を打ちながら飲んだ。
夏の公園で花火をしながら飲んだ時は、ひとりがよっぱらって電柱に登りだし、あわや通報されるところだった。

高校に入ってからは、自転車で繁華街に繰り出し、悪友と居酒屋やディスコで飲むようになった。
量が飲める僕は友人たちから、ウワバミとして一目置かれた。
毎日飲んでいるのだから、たまにしか酒を口にしない友人たちより強くて当たり前だ。
何であれ、友人たちから評価されるのは、うれしかった。
そんな年頃だ。
確かこの頃は、寝酒のビールだけでは飽き足らず、ウイスキーのポケット瓶を勉強机の引き出しに忍ばせていたと記憶している。

店内で飲酒を咎められたことは一度もない。呑気な時代だった。
ただ、帰り道で警察官に自転車を止められたことは2~3度あった。
何歳かと聞かれたら、毎回、20歳と答えた。
何年生まれだ、と聞かれることもあったが、計算は得意だったから、逆算して答えてみせた。
そうすると警察官は、「酒を飲んだら自転車に乗ってはだめだ」とだけ言って、解放してくれる。
だから、警察官が視界から消えるまでは手押しで歩き、見えなくなるやいなや、また自転車をこぎ出した。
ちょろいもんだ、といい気になっていたが、今思えば、向こうも全部承知の上で、見逃してくれていたのだと思う。
本当に、呑気な時代だった。

大学生になってからは、大手を振って飲めるようになった。
学生であっても20歳までは飲んではいけない、などと野暮なことをいう人は、当時はほとんどいなかった。
そしてある日、実家に立ち寄ったとき、本棚に山口瞳の本があるのを目にすることになる。
僕が子供だった頃、父が彼を引き合いに出して、子供に酒が悪いわけがないと言っていたことが、懐かしく思いだされ、ページを開いた。
著書を読み進めるうちに、山口瞳は、算数が大の苦手であることを知った。
苦手、なんてものじゃない。100まで数えられないのだそうだ。
60まではなんとかいくが、70位から頭がカッとくる、と記されている。

100まで数えられない?
滅茶苦茶じゃないか。
作家としては立派であっても、他のことに関してはさっぱりダメらしい。
それはひょっとして、幼少期からの飲酒の悪影響ではないのか?
そもそも父はこの部分は読まなかったのだろうか?
うむむむ。

僕の未来はあまり明るくはないかもしれない、とその時は思った。

(次回に続く)


本日もご来訪ありがとうございます。
お陰さまで「セミリタイア生活」ランキングにて、上位に留まることができています。
無名の僕が、本書の存在を知ってもらう唯一の手段が、このブログであり、ランキングです。
そのためには、引き続き、皆様のご支援だけが頼りです。
お手数をおかけしますが、応援のひと押し、何卒よろしくお願いします。
  ↓
にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村


絶賛発売中!


2017041317540000.jpg

近所の公園での1枚。
新潟の桜は今が満開だ。
ビール片手であることは言うまでもない。


ローカルな話題。
新潟市書店での在庫状況
自著を快く置いてくださっている書店。
考古堂書店
西村書店


にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



プロフィール

内山 直

Author:内山 直
医師稼業からセミリタイアし、現在は「なんちゃんて」文筆家。
有り余る時間を武器に、興味のあることに次々と取り組みながら、妻、子供3人とまったり暮らしています。
2017年に「幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」、2018年に「4週間で幸せになる方法」をセルバ出版から上梓しました。
どんなにお金があっても、地位が高くても、はたまた美貌の持ち主であっても、幸福度に大差はありません。
このブログでは科学的見地から「幸福学」の啓蒙に努めています。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア

フリーエリア