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若者は皆、退屈しているって本当だろうか? 確かに僕は退屈していたけど、皆さんはどうですか?

昨日、「退屈」について書きながら思い出した。
僕の好きなエッセイ集のひとつに、沢木耕太郎のバーボン・ストリート(新潮文庫)がある。
そこに収められた、「退屈の効用」から抜粋する。

“どんな奴らが喋っているのだろうと興味を覚え、体を斜めにずらしてさりげなく後の席を見ると、そこにいたのは制服姿の男子高校生ふたりだった。
やがて、ひとりは大きな伸びをしながら頭の後ろで両手を組み、物憂げな声で呟いた。
「つまらねえな」
すると、もうひとりも同じように伸びをして行った。
「なんか、面白いことはねえかな」
ふたりは退屈しきっているようだった。何度も、つまらない、面白いことはないか、と言い合っていた。それを聞きながら、変わらないな、と思った。彼らの台詞がいつの時代の若者にも共通のものだったからだ。若者は常に退屈している。昭和30年代の石原慎太郎の小説の登場人物も、常に何か面白いことはないかと叫んでいたような気がするし、40年代の私だっていつもそう思っていた。退屈で退屈でたまらなかった。すべきことはいくらもあるのに、もっと面白いものはないかと思いつづけていた。
(中略)
今になれば、世の中にそんなに面白いことが転がっているはずがないと理解できる。たまに面白いことにぶつかるから面白いのであって、しょっちゅう面白いことの渦中にいたらさほど面白くないにちがいない。つまらなくて退屈なのが常態なのだ。“

**************************************



先日、久々に読んで、こんな文章があったっけ、と不思議に思った。
何度も読み返しているはずなのに、なぜか今まではさほど印象に残っていなかった。

沢木耕太郎の言うことは、僕にはよくわかる。
若い頃は、退屈でしょうがなかった。
医学部に通い、バーテンダーのアルバイトをし、悪友と飲み歩き、長期の休みになれば、貯めたお金で海外へ貧乏旅行に行っていたから、今よりもよほど刺激的な日々を送っていたに違いないのだが、それでも、「退屈だな」と口癖のように呟いていた記憶がある。
ただ、それは自分が日々をうまく楽しめない性格の人間であるだけで、若さ自体が退屈なものだとは考えていなかった。
どうなのだろう?
若者は常に退屈しているのだろうか?

大学時代の親友のひとりに、Tくんがいる。
彼は僕と似たところがあって、休みのたびに海外に行っていたし、夜はディスコでバイトをしていた。
彼とはよく、「退屈だ」と言い合っていたような気がする。
なんか面白いことないかな、と。

ただ、その他の友人たちは、僕にはさほど退屈しているようにはみえなかった。
「退屈だな」
と言っても、
「そんなネガティブなことを言っていないで、自分で色々探さなきゃ」
なんてたしなめられた記憶もあるから、退屈が常態ではない友人も多くいたはずだ。
確かに、真面目に学校に行って、部活動やサークル活動に精をだしていれば、それほど退屈する時間もないのかもしれない。

僕もTくんも、よく出歩いた。
長期休暇の定番、海外でのバックパックはもちろんのこと、普段からわけもなく繁華街をうろついては、なにか面白いことに出くわさないかと待ち構えていた。
もちろん、面白いことに出会う可能性は、かなり低い。
ただ、外にでなければ、可能性がゼロであることはわかっていたから、とりあえずは外に出るようにしていた。
今思えば、もっと勉強をするなり、本を読むなり、すべきことはいくらでもあったはずなのに、退屈に焦れながら、ほっつき歩くことが多かった。

世の中には、退屈している若者と、そうでもない若者がいるのだろうか?
それとも、沢木耕太郎が書いたように、若者はみな退屈していているのだろうか?

そして、今の若者はどうだろう?
僕が若かった頃と違って、インターネットとSNSがある。
これらを使いこなせば、退屈する暇なんてないのかもしれない。

まあ、人様のことはわからない。
聞いたところで本音で語ってくれるとは限らないし、それ以前に、その人が本当に自分の気持ちを把握しているかだって、はなはだ怪しい。

僕自身でいえば、前述したように、若い頃は退屈ばかりしていた。
ところが今はさっぱり退屈しない。
日常とは基本的に単調なものであること、そしてその中から愉快なことをいかに見出せるかが、幸せに生きるために一番大切なことだということが、実感としてわかるようになったからだと思う。
若い頃だって、知識としてはわかっていたが、心底からそう感じることができないでいた。
世の中、理解してはいても、腑に落ちなければ、役に立たないことがほとんどのようだ。

沢木耕太郎は次のように続けている。

“かりに誰かからお前を20歳の頃に戻してあげると言われても、恐らく私は遠慮させてもらうだろうが、あの頃の黒光りするような退屈の中でもう一度だけ身を焦がしてみたいものだと思うことはある。”


僕には、ない。
それは、たとえもう一度経験したくても、することができない境遇への、感傷に過ぎないのではないだろうか?
退屈から得るものがないとは言わないが、退屈しない術を身につけ、日々を充実させることのほうが、やはり有用だと考えるべきだろう。
それこそが年をとることの特権なのかもしれない、とすら思う今日この頃だ。


皆さんは若い頃、退屈してましたか?




ずいぶん前の本だけど、まだ売られているのを知って、うれしい。
ちなみに講談社エッセイ賞の最初の受賞作品だ。




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プロフィール

内山 直

Author:内山 直
自己実現を目指してアーリーリタイアした、元医師です。
執筆、講演、ヨガ、イベント企画など、興味のあることに次々と取り組みながら、妻、子供3人とまったり暮らしています。
2017年1月31日、「幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」をセルバ出版から上梓しました。

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