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我ながらつまらない酒飲みになったものだと感じた、ある日の出来事

医者や教師は酒癖が悪いと、昔から言われている。
これは僕が思うに、普段から模範的な立ち居振る舞いを求められる職業につくと、日常的に強い自己抑制を強いられるため、酒が入った折についついはめをはずしてしまう、ということなのではなかろうか?

私の先輩に当たる某先生は、酔うと路地や公園で寝てしまうという、困った酒癖がある。
早朝、見知らぬ公園で目覚め、奥様に 「どこにいるか分からなくて困っているから、迎えに来てくれないか?」 と電話したこともあるとのこと。
どこにいるか本人も分からないのに、迎えに来いと言われても無理な相談だ。
今年の初めに会ったとき、冗談交じりに
「最近はどうですか? また公園で寝たりしてないでしょうね?」
とからかうと、その先生は真剣な顔で、
「この季節は気をつけているんだよ ・・・ 下手すると死ぬからね」 (そりゃそうだ)

その他、知らない人の家に侵入し、勝手に風呂を使っているところをみつかって、警察を呼ばれた知り合い医師もいる。
いやはや、酒の上での失敗には寛大な日本とはいえ、およそ限度というものがあるだろうに。
諸先生方には、くれぐれも気をつけていただきたいところだ。

僕自身、若い頃は酒で多少荒れることもあったが、最近はいたっておとなしい酒飲みになった。
無茶な飲み方もしないし、したがって、武勇伝や二日酔いともほぼ無縁。
大人になったなあ、という安堵の気持ちもある反面、心の片隅では、以前の無謀な飲み方をなつかし感じたりもする。
我ながら、つまらない酒飲みになったものだなと思う。


さて先週末、友人と飲む機会があった。
いつもよりは少し遅くなったが、それでも夜半過ぎにマンションに帰ったところ、入り口のオートロックのところで、若い女性が突っ伏して寝ているのに気づいた。
私の住んでいるマンションは、入り口の自動ドアが二重になっていて、まずは鍵のいらないドアがあり、ここは住人でなくとも、入ろうと思えば誰でも入りこむことができる。
そしてその内側に、鍵がなければ入れないドアがあり、その2つのドアの間、1畳ほどのスペースを、なかば占拠するようなかたちで、その女性は横たわっているのだった。
うつ伏せなので顔はよく見えなかったが、全体の雰囲気に覚えがないので、おそらく住人ではないだろうと判断。
マンションの誰かを訪ねてきたのかもしれないし、あるいは単なる通りすがりで、外よりは居心地のよさそうなマンション内に入り込んだ可能性もある。
試しに声をかけ、さらに体を揺さぶってみたが、さっぱり応答がない。
どうやら、かなり酔っぱらっているようだ。
どうしたものかとしばらく迷ったが、呼吸はしているし、脈もしっかりしていたので、問題ないだろうと思って、かまわずに帰ることにした。
僕もいかんせん酔っていて、そして疲れてもいたし、それにこのご時世、手厚く介護をすると、逆に痴漢かなにかと勘違いされかねない。
元医師として申し訳ない気持ちもなくはなかったが、「触らぬ神に」と決め込むことにした。

翌朝、目覚めてまずこのことを思い出した。
昨日はあのまま帰ってしまったが、あの女性は大丈夫だっただろうか?
酔っ払いじゃなくて、病人だったらどうしよう、と後悔しながら手早く着替え、とりあえずエレベーターで一階に下りてみた。
問題の入り口付近を恐る恐る覗いてみたところ、いつもと変わったところはなく、倒れている人もいなければ、騒ぎが起きた形跡もなし。

(どうやら、なんとかなったみたいだな)
ほっと胸をなで下ろし自室に戻ると、ちょうど起きてきた妻が驚いた様子で、
「あれ、日曜日なのに、朝早くからどうしたの?」
と声をかけてきた。
いや、じつはかくかくしかじかで、と事情を説明すると、妻は残念そうな口調で言うのだった。

「なんだ、そういうことがあったのなら、起こしてくれればよかったのに」
妻の言葉に、僕は驚いて返した。
「起こしてくれればよかったって? 君も意外と野次馬だねえ」
「ううん、野次馬じゃなくて、介抱してあげたかったなって思って」
「夜中にわざわざ起きて、介抱?」
僕は驚いて言った。「多分このマンションの住民ですらない、知らない人だよ」
それに対し、妻はかすかに微笑むと、
「でも、私も若い頃、同じようなことがあったから ・・・」

妻が言うには学生時代、友達と飲んで泥酔し、アパートへの帰宅途中、道端で眠り込んでしまったことがあるのだそうだ。
その際、見ず知らずの人が家にいれてくれて、朝まで面倒をみてもらったとのこと。
その時の感謝の気持ちから、今度自分が逆の立場になったら、その時は倒れている人を助けてあげよう、と固く誓ったのだ。

へええ。そんなことがあったんだ。
見ず知らずの人を家に入れて介抱するなんて、なかなかできることではない。立派な人もいるものだ。
それに、感謝の気持ちを忘れず、人の役に立ちたいと思い続ける妻もなかなかに立派。
いい話だなあ、と思ったのは、ほんの一瞬で・・・。
おい、うちの妻、飲んで道端で寝ていたって? 学生時代に? 意識不明で!?
いやはや、豪快というか、なんというか ・・・。

子供ができてからは一緒に飲みに出るくことはなくなったが、確かに妻はかなりの酒豪だ。
少なくとも僕よりは強い。
そう言えば以前、病院で麻酔をうけるとき担当の先生に、「麻酔量の目安になるんですが、だいたいお酒をどのくらい飲むと酔いますか?」 と聞かれ、「ワイン1本くらいでしょうか」 と答えて、先生をのけぞらせていたこともあったっけ。

どんな人生を歩んで、今、この人があるのだろう。
慣れ親しんだはずの妻の横顔が、見知らぬ他人のように見えたひと時だった。

それに引き替え、やはり自分はスケールの小さい、つまらぬ酒飲みだなあ、とあらためて実感。
もちろん、別にそれでいいんだけどね・・・。



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プロフィール

内山 直

Author:内山 直
医師稼業からセミリタイアし、現在は「なんちゃんて」文筆家。
有り余る時間を武器に、興味のあることに次々と取り組みながら、妻、子供3人とまったり暮らしています。
2017年に「幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」、2018年に「4週間で幸せになる方法」をセルバ出版から上梓しました。
どんなにお金があっても、地位が高くても、はたまた美貌の持ち主であっても、幸福度に大差はありません。
このブログでは科学的見地から「幸福学」の啓蒙に努めています。

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