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これも作家業の効能!? マンションの管理人さんと一緒に飲みに行ってきた!

アーリーリタイアをして、本を出して、なんて妙なことをしていると、いろいろなことが起きて面白い。
先日は、マンションの管理人である、Fさんに誘っていただき、一緒に飲んできた。

僕がこのマンションに住み始めたのが、12年前。
Fさんはその頃から管理人をしていて、このマンションが最初だと言っていたから、定年で前職を辞したとして計算すると、70歳過ぎということになる。
僕の本を読んでくれ、話をしてみたくなったとのこと。
十数年間、毎日のように挨拶を交わしながら、深い会話は一度もしたことのない相手、しかも僕より2回り近く年上の人と、いきなりふたりで飲みに出るというのも、普通ならなかなかない経験だと思う。
Fさんは仕事熱心なだけではなく、とても人当たりのいいから、住民からはすこぶる評判がいい。
僕自身も好感をもっていて、一度じっくりお話をしてみたいと思っていた相手だったから、まさに渡りに船でお誘いをうけた。

あくまでも僕の周囲に限った話だが、自著は意外と老人ウケがいい。
出版を機に、老人の友人(と呼んでいいのなら)が増えた。
本当なら、若い女性の友人が増えてほしいところだが、僕の本がもっともウケないのは若年女性層だし、そもそも、妙なトラブルになっても困るので、とりあえずは現状に我慢、じゃなかった、満足している。
Fさんの管理員としての仕事が5時までだから、5時過ぎからマンションの近くの居酒屋で飲もうということになった。

店に入って席につくやいなや、Fさんがカバンから自著を取り出す。
相当読み込んでくれたらしく、本はかなりくたびれていて、さらに、メモ書きがされた付箋がたくさんついていることに気がついた。
それだけで、うれしくなる。

Fさんからはいろいろなお話をうかがったのだが、プライバシーの問題もあるので、くわしくは書かない。
差しさわりがなさそうな範囲で、その半生を箇条書きにしてみると、

・高卒。勉強が嫌いで、大学には行かなかった。
・大手自動車会社の営業職につくが、会社が1年のうちで一番売り込みに力を入れていた時期が野菜の収穫期にあたり、農家をやっていた実家の手伝いで休みがちだったので、上司からの覚えは悪く、出世には縁がなかった。
・30歳をすぎても平社員のまま。しかし、実家の後継ぎが育ち、畑の手伝いをしなくてすむようになったのを機に、仕事に本腰を入れ始めたところ、メキメキと頭角をあらわし、以来、売上上位の常連になる(ほぼ毎年、海外旅行のボーナスがでたというから、よほどの成績だったのだろう)。
・所長にまでなったが、定年を目前にして、社長と喧嘩をして辞職。


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Fさんは、若手への厳しい教育が嫌いだったから、部下受けはよかったし、また、水害のときなどは、被害をうけたユーザーの立場にたって、積極的に行動したため、一部の顧客からも大いに感謝されることになったのだが、スパルタ体質で、古き慣例が最優先である会社とは、最後までそりが合わなかったようだ。
温和でありながら、一本筋の通った人にみえるから、清濁併せ呑むようなことは、不得手だったのかもしれない。
上司との喧嘩話は、聞いていてせつないものが多かった。
しかし、さすがは敏腕営業マン、顧客獲得の秘話などはとてもおもしろく、たとえば、町工場の社長を落とすのに、社長が早朝から仕事をしているのを知り、毎朝4時にお茶くみの手伝いに日参したというエピソードなど、いかにも「昭和」な逸話をいくつもうかがうことができ、大変楽しい宴になった。

「でもねえ」
Fさんは頭をかく。
「私も女房も、金はよく使ったからなあ。反物なんて、いくつあるんだろう? 稼ぎはよかったし、娘たちは国立大学に行ってくれたから、大して教育費もかからなかったっていうのに、さっぱり貯まらなくてねえ。だから今でも、管理人なんてやってます、ははは。若い頃に内山さんの本に出会いたかったなあ」

Fさんの若い頃なら、僕は子供だからもちろん無理な話だが、そう言われればうれしく、そして、少しせつなくもなる。

「でも本には、『したくない仕事をしないでいい立場になろう』って書いてありましたよね」
と思いついたように言うと、Fさんは自著のページをめくりはじめた。

「ああ、ここだ。ここを読んで、うれしくなってねえ。
私は今の管理人の仕事が、本当に好きなんですよ。
与えられた仕事を、きっちりひとりで淡々とこなす。ものをきれいにするのは、そもそも気持ちがいいですしね。
それから、住民の方々との交流。私は人と接するのが、好きなんですよ。
最初は管理人なんて、清掃屋みたいなものだと思っていたんですが、やってみたら全然違っていて・・・」

Fさんは、住民からとても評判がいいと最初に書いた。
ただでさえ働き者のFさんが、楽しんでやってくれているのなら、仕事ぶりが悪いわけがない。

「営業時代にもいいことはありましたよ。それこそ、何人かのお客さんとは、今でも友達づきあいをさせてもらってますし。
でも、ノルマだの、ペナルティだの、ああいうのは最後までダメでしたね。」

成績がよかったのにもかかわらず、それだけ仕事がつらかったのであれば、よほど営業職が合わなかったのだろう。
「仕事ができる」ことと「それが向いている」こととでは、全然意味合いが違う。
僕だって、短い間であったとはいえ、開業医として成功を収めたのだから、おそらく適性はあったのだろうが、最後まで天職と思うことができなかった。
それが今の状況に繋がっている。
たくさんのつらい思いをして、高度成長期、バブル、そしてその崩壊の中を生き抜いてきたFさんが、ようやく天職にめぐり合えたと笑ってくれたことに、肩をなでおろす思いがしたし、自著が自分の半生を再確認し、これからの生き方を考える上で役に立ったと言ってもらえ、とてもうれしく感じた。

結局店を出たのは10時近く。
居酒屋で膝をつき合わせ、5時間も話し込んでいたことになる。
なんとも楽しい夜だった。

酔いもあって、多少みっともない姿もさらしたので、その後、以前のように日中、Fさんに顔を合わせるのが、やや気まずくもあるのだが、きっとFさんもそれは同じであろうことは、Fさんの照れたような笑顔から、容易に察することができる。


いろいろな人がいて、いろいろな逸話がある。
僕の本を読んで、感銘を受けてくれた人は、僕と話をしてみたくなるようで、今までも、いろいろな人から声をかけていただき、普段なら人にはしないであろう興味深い話を聞かせてもらっている。
なんだか、得をした気分だ。




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コメント

No title

 内山さんと最初に飲んだ頃が懐かしいです・・・
 ってまだ半年も経っていませんが。(笑)

Re: No title

お互い若かったですねえ・・・
って半年もたってないのか(笑)

おじゃまします

内山さんの友人やお知り合いとの飲み会の話、
色々な方がいらっしゃって、面白く拝読させてもらっています。
読むだけで追体験した気分です。

そして、忙しさにかまけてずっと忘れていた
「友達って大切だよ。」という気持ちがふわっと蘇りました。

Re: おじゃまします

たぬきさん、コメントありがとうございます。

最近コメント欄が荒れているので、たぬきさんの優しいコメントが心に沁みます(笑)。
交友に関しては、現役時代は保守的だったのですが、アーリーリタイアしてからずいぶん変わりました。
今後もおもしろい会があったら、発信していきますね!

> 「友達って大切だよ。」という気持ちがふわっと蘇りました。

本当にそう思います。忘れそうになるけど、忘れてはいけませんよね。

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プロフィール

内山 直

Author:内山 直
医師稼業からセミリタイアし、現在は「なんちゃんて」文筆家。
有り余る時間を武器に、興味のあることに次々と取り組みながら、妻、子供3人とまったり暮らしています。
2017年に「幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」、2018年に「4週間で幸せになる方法」をセルバ出版から上梓しました。
どんなにお金があっても、地位が高くても、はたまた美貌の持ち主であっても、幸福度に大差はありません。
このブログでは科学的見地から「幸福学」の啓蒙に努めています。

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