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現地の言葉を少しでも話せれば、人は違う一面をみせてくれる~旅と言葉について 後編

前回書いたように、僕はスペインの片田舎で、言葉を学ぼうとしなかった自分の不明を恥じることになる。

その時の痛烈な反省から、僕はその国の言葉を学ばぬまま海外を訪れることを、2度としないと誓った。
いくら滞在が長くても、1度の旅行で訪れるのは最大で2カ国と決めた。
それが僕の語学習得能力の限界だと考えたからだ。

現地の言葉で話すのは、楽しい。
英語で話しかけるのとは、反応がまったく違う。
いくつの言語を学んだだろう。
ギリシャ語、トルコ語、マレー語、スペイン語、ドイツ語、そうそう、オランダ語まで学んだ(ただしオランダ人は実に流暢な英語を話すので、これは不要だった)。
いろいろな国を訪れたが、特に好きだったのがタイで、2回続けざまに1ヶ月ほどの旅をしたから(最初は北部、次は南部を中心に回った)、タイ語は随分話せるようになった。

こんなことがあった。
タイ語の屋台で、料理を頼む。
旅行客だからといって、スパイスを加減しないでくれ、と告げる。
たまに退屈な料理を出されて閉口するんだ、と言って肩をすくめると、料理人が笑う。
出された料理を僕が口にすると、
「食べられるか?」
と聞いてきた。
「うまいか?」
ではないところに、彼の本音が垣間見えて、おかしかった。
確かに、めっぽう辛い。
あまりの辛さに、食べ物が通過するたび、食道にピリピリと痛みが走る。
でも、慣れればそれが心地いい。
全身汗だくになりながら完食すると、スタッフだけでもなく、周りにいる客までもがほお、という顔つきになる。
手招きして、メコンウイスキーをおごってくれる人もいた。
(タイでアルコールといえばシンハビールが有名だが、現地では高級品なので、庶民は日常では飲まない)
そんなコミュニケーションが一々楽しい。
どうということのないひとコマではあるが、英語しか話さない旅行者のままでいたら、まず味わうことがなかったであろう経験だ。

スペイン同様、タイも田舎に行くと、いよいよ英語がまったく通じない。
ホテルでも、さっぱりだ。
一度、チェンライ(チェンマイのさらに北)のホテルで、欧米人のカップルのために通訳をしたことがある。
当時(今は知らない)、安宿では値段を交渉し、値切ってから泊ろうとするのは常識だった。
彼らは宿泊料の交渉をしたいのだが、英語を話すスタッフがいなかったのだ。
そういえば少し前から、英語もタイ語もしゃべれるコンイープン(日本人)が滞在しているじゃないかという話になったらしく、食堂でビールを飲んでいた僕が呼ばれた。
男のほうは、英語が通じないことに、明らかにいらだった様子だった。
女性のほうは、そんな彼に対し、あきれたような表情をうかべている。


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僕は欧米人旅行者、タイ人のスタッフ、どちらに肩入れをすることもなく、公平に翻訳した。
結果、カップルは多少のディスカウントを得たが、もちろん、僕が払っている宿賃よりは、はるかに高い額で妥協するしかなかった。
基本的なタイ語を話すこともしないで、いい値引き条件がもらえるわけがない。
別れ側、僕はおせっかいにもその男性に、どの国であれ、田舎まで足を延ばすのであれば、多少は言葉を学んだ方がいいと言った。
彼は少し首を傾げた後、
「タイ語を? まさか」
と言って、同意を求めるように彼女の顔を覗き込んだ。
彼女の表情は、僕からは見えなかった。

僕に彼を責めることはできない。
傲慢だった若い時分を思い起こし、再度、恥じ入るだけだ。

今、小学校6年生の長男は、中国語を勉強している。
近所の図書館から教材を借りてきたり、国際交流センターのようなところに足を延ばしたりして、熱心にやっている。
どういう経緯で、中国語を学びたいと思ったのかは、そういえば聞いたことがない。
最近は、交流センターで紹介してもらった、中国人の若いお姉さんから中国語を教わっているようだ(この辺の彼の行動力は、我が子ながらすごい)。
そんな暇があったらもう少し英語をやっておけ、という気もしないわけではないが、多分好きにやらせたほうがいいのだろう。
種類は何であれ、学びたいと思うことが、最大の学習のチャンスであることに間違いはないはずだ。

それに第一、英語で何でも通じると思うような、傲慢な男にはなってほしくない。





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プロフィール

内山 直

Author:内山 直
医師稼業からセミリタイアし、現在は「なんちゃんて」文筆家。
有り余る時間を武器に、興味のあることに次々と取り組みながら、妻、子供3人とまったり暮らしています。
2017年に「幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」、2018年に「4週間で幸せになる方法」をセルバ出版から上梓しました。
どんなにお金があっても、地位が高くても、はたまた美貌の持ち主であっても、幸福度に大差はありません。
このブログでは科学的見地から「幸福学」の啓蒙に努めています。

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