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四半世紀前、ロンドンで友人たちは紳士的にドラッグをやっていた~違法薬物について思うこと1

前回、前々回と、酒について書いたついでというわけではないが、今回から数回にわたって、ドラッグについて私見を述べたい。
日本でドラッグがどのくらい忌み嫌われているか、もちろん僕は知っている。
真剣に語ることが、半ばタブー視されていることも知っている。
だが、真実とはかけ離れた風説が跋扈している今、誰かが論点を少し整理すべきだと思う。

僕がそれに打ってつけだと考える理由は3つある。
1.ドラッグカルチャーに身を置いたことがあり、使用者を多数知っている。
2.医師として、薬物の依存性についての知識がある。
3.そして僕自身は、ドラッグを使用したことが、基本的にはない。


僕がイギリスに渡ったのは、1989年、ややクラックはすたり始めたものの、アシッドハウスの流行により、LSDが再び人気を取り戻していた頃にあたる(最初に流行ったのは、もちろん60年代だ。ピース!)。
当時、僕は20歳で、ロンドンで知り合った欧米人は、ほぼ例外なく、全員が麻薬を日常的に使っていた。
特殊な人とばかりつき合っていたとは思えない。
レストランで働いていたから、友人には労働者階級の若者が多かったが、スーツをばっちり決めたビジネスマンだっていた。
確かに、ホワイトカラーには、マリファナ、ハシシといった、マイルドなドラッグしかやらない人が多かった印象はある。
ただ母体数が少ないので、データとしての信憑性はないだろう。

いくつか印象的だったエピソードを。
当時アパートをシェアしていたアンディーと僕は、その夜、別々のパーティーに参加した。
アンディーは黒髪をツンツンに立てたパンキッシュな男で、背が高く、がりがりにやせている。
ウェイターとしてはとても有能で、店からは重宝されていたが、彼の夢はカメラマンになることで、だから、いつもカメラを離さなかった。
1年を通じて、常に同じ革ジャンを着ていて、それは遠くからみるとシンプルな柄なのだが、近くでよく見ると、柄がすべて、“I love sex” という細かい文字によって成り立っているというもので、当時のロンドンであっても、かなり奇天烈に映った記憶がある。
目立ち、見られるのが好きな奴だった。

僕の出向いたパーティーは、日本人とイタリア人が半々の、実に愉快なもので、その日は朝まで飲んだ。
家に帰ると、アンディーもちょうど帰って来たばかりで、上機嫌だった。
「スナオも今までパーティーしてたのか?」
と聞いてきたから、もちろん、と答えると、アンディーは興味津々な表情で聞いてきた。
「こういうとき日本人は・・・いや、スナオはってことでもいいけど、どんなドラッグをやるんだい?」
僕はびっくりして答えた。
「ドラッグ? まさか!? アルコールだけだよ」
「アルコールだけ?」
アンディは心底驚いた表情をみせた後、しみじみと言った。
「アルコールだけでこの時間までパーティーできるなんて、スナオ、お前は本当にワイルドな奴だ。俺はアシッドかスピードがないと、朝まで踊るなんてとても無理だ・・・」
この会話は僕にとって一生忘れられないものになった。
そのくらいの衝撃だった。

ドラッグをやらないことで、ワイルドと評される世界がある・・・。
僕はひょっとしたら、とんでもないところに足を踏み入れたのかもしれない、と思った。


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その後、僕とアンディーは、共通の友人がアパートで開いたパーティーに一緒に行ったことがある。
入り口で、まるでチケットの半券のように、LSDを渡された。
来る人、来る人、全員に渡しているのだ。
そして、皆が当たり前のような顔でそれを口に入れてから、玄関を通り抜ける。

さて、困った。
僕は、失礼にならないといいけれど、と思いながら、ドラッグはやらない、と告げた。
すると友人は笑って、「スナオ、本気かよ? たかがアシッドだぜ」と言う。
「でも、僕はやらないし、やったこともないんだ」
そう告げると友人はとたんに真顔になり、「なら、やらないほうがいい」と慌てた口調で言って、手にしたシートを引っ込めた。

LSDは初めてだと、人によってはひどいバッドトリップになる。
そうなったら、誰かが面倒をみなければならないし、場合によっては、警察沙汰や、救急車騒ぎになる。
せっかくのパーティーだ。誰だって、それは避けたい。

当時、日本では、「一気飲み」が流行っていて、僕はそれが苦手だった。
望まない人にドラッグ使用を押しつけたりはしない態度は、酒とドラッグとの違いがあっても、なんだか紳士的に感じられて、日本でのやり方よりも好感がもてた。
まだ20歳で、世間知らずだった若者の感想だ。
倫理にかなっていなかったとしても、許してほしい。

当時のロンドンでのドラッグ事情については、次回でさらに述べたい。




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プロフィール

内山 直

Author:内山 直
医師稼業からセミリタイアし、現在は「なんちゃんて」文筆家。
有り余る時間を武器に、興味のあることに次々と取り組みながら、妻、子供3人とまったり暮らしています。
2017年に「幸せの確率~あなたにもできる!アーリーリタイアのすすめ」、2018年に「4週間で幸せになる方法」をセルバ出版から上梓しました。
どんなにお金があっても、地位が高くても、はたまた美貌の持ち主であっても、幸福度に大差はありません。
このブログでは科学的見地から「幸福学」の啓蒙に努めています。

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